チャレンジキャンプで監督が伝えたいこと(3)

「チャレンジキャンプで監督が伝えていこと(1)」の冒頭にあった、

‐ 日本の子供の長所として表現された「技術が高い」

と話していた監督の違った思いについても少しお話しておきたいと思います。監督たちの「日本の子供達は、技術が高い」というのは本当に率直な感想でした。ただ、また、逆の思いがあったことも事実なのです。

ここではその逆の思い、言い換えると、「日本の子供達のために伝えたいこと」をご紹介します。

「日本の子供達はボールをさわる技術ばかりにこだわりすぎているようにも思えるよ。だって、試合中にボールにさわれる時間は、もっともさわれるといわれる中盤でたった3分程度。残りの87分はボールにふれずにプレーする競技だよ。」

といって、指でチョキの形をつくって、自分の両目をさしました。その後、ニャッとわらって頭を指さしました。

レアルキャンプの監督たちの練習には、常に顔をあげ、プレーの選択肢を考える工夫がちりばめられています。例えば、ボールを持った瞬間にコーチからサイン(例えば、指が1本なら右ドリブル、2本なら左ドリブル、3本ならパス)が出され、プレーヤーは顔を挙げてコーチが出したサインに従って、プレーを続けなければならないような練習がそれにあたります。声で指示が出されてしまうと顔をあげなくても、監督の指示を理解してプレーができてしまいます。ところが、声を使わずにただ、指のサインで指示をする、それもただ単に右を指したり、左を指したりと見るだけではなく、「指が一本の時は右ドリブル」といった頭を使うプロセスを一つ入れる、これがボールをもった3分間のプレーの仕方の基本であり、90分間、頭を使ってプレーをする訓練の一つだそうです。ボールを持った瞬間に、顔をあげて頭を使う、簡単なようで習慣になっていないとなかなか難しいですね。

レアルのカンテラでは、小学生からジュニアユース、ユースチームと年齢が高くなるにつれ、そのプレーひとつひとつの選択肢の数と統計的な成功率が問われ、なぜ、そのプレーを選択したのかを、監督がいちいちプレーをとめて質問するとのことです。そのプレーを選択した理由が説明できないと、監督は選択肢を説明し、そのプレーそれぞれの成功率、そして次のプレーの展開予測を10分以上もプレーをとめて口頭で説明したり、プレーを再現したりするとのことでした。それらのプレーを理解し、自身で考えて実践できない選手は試合に出られなくなることが度々あるそうです。

指導者が戦術を教えて、それを何度も反復練習することで覚えるサッカーとボールを持った場合、持たない場合、それぞれの状況下で選択できるプレーを複数イメージして、2秒後、3秒後の結果を予見することで自分のとるべきプレーを選択するサッカー。いいかえれば、「模倣するサッカー」と「考えるサッカー」。「考えるサッカー」を育てる礎がそこにあると感じる一例でした。

~ 次回に続く ~